痛み/−波眠−
 

日が陰った



濃く煮出した8月の影は

ゆるゆるとアスファルトに滲んだまま

吸い込まれていく



確かに目に映ったであろう

焦がした明後日の原風景




取り残された

二分割の共感は

右も左も未送信のまま

いつしか

己の瘡蓋を切り落とす凶器となるのに




手を離せない




いま

彼女に痛みの托鉢を

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