白い頁/狸亭
びっしりとつまった細字はかすみ
秋のかわりやすい天候のような
さむい冬のうすい存在と時間のような
たよりない国のざわめく都市の片隅
あたたかい寝床の中にもぐりこみ
じっと息をころしている朝な夕な
世界にくりかえされる過酷な
現実 砂漠のすなほこり あぶらの海
おびただしい紙面をみこらしても
いくらあたらしい頁をめくっても
何もあらわれてはこないもどかしさ
生きていることをたしかめるために
わかい息子たちの手が日々あれてゆくことをかなしんでも
ぼくの手はしろいままに。
(押韻定型詩の試み 15)
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