付箋八月/yozo
 


白く
夏は始まるものではなくて
始めなければ来ないのだ
クーラー病前24℃
痛む頭を抱えうずくまる彼
代わりなどない数十年のニオイを放つ
大好きな毛布がもうすぐ擦り切れる
そんな日に怯え過ごす彼を
やっとよじ登った乾いた幹にしがみつく
余命幾許の蝉が笑う

Go out.
幸い生白い首筋にも吹き出る汗がある
燃え尽きる日を目指し太陽は輝く
ちっぽけなキミくらいそのままでも
Handicapゼロでスタートさせてやる
それまでは
鳴き終えた同胞の屍を1つづつ
排水溝に転がしてやろう
Countdown...

夏は
始めなければ来ないのだ
怯えた
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