夏の憧憬/なるせ
 
何かを守るための理由なんて
きっと邪魔にしかならないって
握りしめた手を離したのです

その手に
どんな理由があったの

その手は
何を守ろうとしたの


風が通りすぎて
あの日の薫りを思い出させる
色付いた青い葉と
少しの終わりの気配を連れて


どこにも理由なんて無かった
何の邪魔もなく
ただ、ふたりは
夏の庭で

そんな夢をみていたのです

もう戻らない
あなたを思い出しては

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