夏の憧憬/
なるせ
何かを守るための理由なんて
きっと邪魔にしかならないって
握りしめた手を離したのです
その手に
どんな理由があったの
その手は
何を守ろうとしたの
風が通りすぎて
あの日の薫りを思い出させる
色付いた青い葉と
少しの終わりの気配を連れて
どこにも理由なんて無かった
何の邪魔もなく
ただ、ふたりは
夏の庭で
そんな夢をみていたのです
もう戻らない
あなたを思い出しては
戻る
編
削
Point
(2)