とき(うた)/木立 悟
 



突然 短いうたが訪れるとき
ずっと長くつづくように感じ
いつもいつもひらかれてしまう


重く しっとりとした鉄が
手のひらの熱に戸惑うとき
いつのまにか撒き散らされた
石の破片を見つけてしまう


確かな水音が現われるとき
空をあおぐ空のなかで
いつも片目を閉じてしまう


あたたかな森をすぎるとき
どんなかたちにも触れることなく
降りつもるものは降りつもり
手のひらをさみしく重くする



いろんな離れ方のなかでうたうとき 笑うとき
いろんな離れ方のなかで
うるおってゆく





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