よんでいる/石川和広
が
ちいさいこえで
ぎろんしている
やっぱりおかあさんのまえでは
おかあちゃんとよべないな
おとこのこのぼくがいう
でも
かのじょのまえでは
おかあさんのこと
おかあちゃんとよぶんだ
おかあちゃんのことすきなんだろ
と
すこしおとなのぼくがいう
ひきさかれたにくへんが
ひめいをあげる
そのしたにはおかあさんがいて
どうこえをかけていいか
とまどっていると
そうぞうすると
どきどきする
かってな
そうぞうであるのか
おかあさんは
じぶんのじんせいが
おもたいのかもしれない
そうおとなのぼくは
おとこのこのぼくにいう
どこかで
ちいさいおんなのこがないている
おとこのこのぼくには
きこえる
おとなのぼくは
そんなしんぱいしなくていいよ
というが
どこかとおいこえになっている
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