晴れた朝 泳ぐ/
はな
ったけれど
ことばはまだ
知りませんでした
ただ何か
ずるいなあって
たっちゃんはじっとして
わたしの手を 痛いくらいの力で握っていて
そのごつごつは真っ赤な血が少しにじんで
わたしのむねは
しゅん しゅん、薬缶みたいなふうで
「ばかだねえ」
そう きっと
あのひも晴れていて
あさが
くるたび
ほしいものが何もないわたしを
たっちゃんはよくばかにして
でも さいきんはちょっと優しいから
あっさりとひねりあげては
笑います
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