ふうりん/しらいし いちみ 
 
バスルームに聞えて来たのは
ベランダのふうりんの音
さんど ちり〜ん ちろり〜ん ちり〜ん

急いでバスタオルに身を包んで
ふうりんを見に・・・
短冊は揺れてるけれど音は出ない
カーテンのしっぽが少し揺れて隠れてしまった

音が出ないふうりんを見上げて
座り込んでしまったら
程よい汗は少しづつ乾く

もう一度聞きたくて
カーテンの裾を柱に縛り付けてみた
カーテンは風をはらんで
思いっきり膨れ上がる
そばにある素焼きの植木鉢が転げそうになった
慌ててほどいて・・・

それでもふうりんは音を立てない
ふうりん越しに透けて見える空は青くて
白い雲が金魚のように泳いで綺麗だ

あれは・・・父さん?
今日は八月九日
長崎の熱い六十年前の今日だ






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