ネコとあたしと猫/
 
あなたが飼っている猫はわかる。

不思議な名前ばかりつけているから。

時々自分の服を見ては、

白い毛を取り除いている。

そんなあなたを見ているのが好きだった。



あたしがなりたかったのはネコで、

あなただけに可愛がってもらいたかった。

髪を撫でて頬を撫でて、尻尾の先までくすぐるように、

愛を込めて、好きだといって、手を伸ばして、あたしを抱きしめて。


もう、そんな事もしてもらえない。

あなたの猫も、あたしも

もう、遠く離れてしまった。


あなたの隣にいるのは、

見たことのない猫。
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