一月八日 白山郷共同斎場にて/山田せばすちゃん
骨壷をもうひとつと
父親は頼みました
寒い寒い一月の斎場で
白い骨になってしまった
母親を乗せた
鉄板をみんなで囲みながら
葬儀屋が用意してくれたのは
大きな骨壷がひとつと
小さな骨壷がひとつ
小さな骨壷には
指の骨や歯やのどの骨を
大きな骨壷には
大きな骨を
それでもまだ母親の骨は
鉄板の上に余りありました
「そりゃあここにもおいてはありますよ」
斎場の人が少し困ったような顔で
答えました
それから僕を部屋の隅にそっと呼んで
「お父さんのお気持ちはわかりますが
そんなにいっぱい持って帰られても…」
「好きにさせてやって
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