誕生/LEO
あの夏の星の輝く夜に君は生まれたのだよ
ずうっと後になって父がそう言った
その星のひとつを握って泣いていたのです
父の墓の前にたって私はそう言った
映る星と映らない星があるとわかったとき
価値観や思想の違いに揺れうごいた
見る場所や角度で星空は違うと知ったとき
私は不幸でも哀れでもないと思った
あの一点の星の示す方角に向かって歩くわけじゃない
目指す場所は自分で示す、私が私の星になる
あの夏にそう言いたかった
言わないでも変わらなかっただろう ただ
そんなふうに生きたい と 思わせたのは
星の数ほどの喜びや悲しみを知り
生まれたこと、後悔よりも良かった と
生まれたことを喜んでくれたのは
父よ、あなたもだったに違いない
語れないことを悲しんだのは
あなたと私と同じだったに違いない
あなたと私の間には空と地との距離ができ
死んだら星になると信じるなら
あなたはどの星になったのだろう
私が生まれたのは星が降った夜だった
そして今夜も 星は降る
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