2100年宇宙のクリスマス/みつべえ
 
 昨夜パーティで食べたものが悪かったのか、どうも腹の調子がおかしい。ひどい下痢だ。朝から何度もトイレに通っている。宇宙空間でクリスマスなどやるもんじゃないな。ズボンのベルトを締め直しながらトイレから出ると、展望室につながっている廊下の方から船長のクラークが近づいてきてタバコを差し出した。
「いらないよ」
 私は手のひらをふって言った。
 クラークは自分のぶんだけ引き抜き、タバコのケースを胸ポケットに戻した。口にくわえたタバコは自動的に発火し、彼は最初のいっぷくをうまそうに喫った。
 その煙にむせた私は内心毒づいた。
 なんて野蛮なヤツなんだ。喫煙が地球上で禁止されてから何十年もたつのに。
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