所在なし/yamia
姿を映し出してくれるはず
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期待はただの期待に過ぎず
あっけなく裏切られる
後悔と諦めとが折り重なって表面を被い
あたかもそれがすべてのような顔をするので
何も確かめられやしない
諦められずに
怪し気な呪文を唱えて
そいつらを消し去ろうと試みるが
ことばは宙を虚しく回転するだけ
不確かな稜線をたどり続けるも
濁った水がつなぎ目から侵入してきて
腐食は一層進むばかり
からっぽのはずの入れ物にも
実は記憶だけは詰まっていたらしく
水たまりに溶け出して
その形をわずかに変化させる
そこはそんなもんばかりが
垂れ流されてできた場所なのかもしれぬと
ふと思う
記憶はウソツキだ
だからそこに真実を探しても
多分無駄な話
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旅の終わりはどこにあるのだろう
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