笑う形/こしごえ
洗濯物をたたむうちに
不意に可笑しさがこみあげてきた
昨日までの
それまでの
汚れを落した衣服の形
そうだとしても
ひとつひとつ
笑顔や葛藤や
その他諸々(もろもろ)の生活を含み
記憶している形に
そのものたちへのいとおしさが
不意に可笑しくさせる
これらを着る者の言葉ない言葉を
これらはこれからも落され
糸のほつれるよりも早く含み
記憶していく形を
これら身を覆うものの
手触りとともに温もりを
笑ってはいけないと思いつつも
ついに優しく笑ってしまう
戻る 編 削 Point(16)