カタコンブ片/折釘
 
 カタコンブ片


地下墓地の奥に見つかった
女体がひとつ
乾き切ったほむらの形相で
蕩けた口の大きさで
己の生死を問うている

造物主に
世紀を越える時
女もこどもも兵士も一様一体に
届き漏れてはいけない光と
舞いもしない埃ひとつ

  羅馬は今日もサッカーボールを蹴る少年らの歓声が響き
  地下墓地に谺していた

誰もが動かず
更に見た事もない海の赫ぎ
深く流れる水脈に

躯骨の奥で名前も知らない
童体がひとつ
ついぞ生前着せられなかった
絹の触れれば音も無く崩れゆくのを
己の生死に問うている

もはや手触りも失せてゆき
褪色しきった結
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