幻肢痛/月音
夏休み
自由研究のテーマは
距離に ついて
だから
きみが 必要
逆さにしたフライパンの底を叩いて
大気の震え
300km先の君の朝を起こす
という 確かさ
湿らせた粘膜をこすりあわせて
熱の生まれ
1cm先の君の吐息を吸い込む
という 不確かさ
まどろんだ午後は 曖昧
きっとパラレルにすれ違う
ほうき星のかけらだけ
君の皮膚を侵食する
この
じわじわと
カタツムリの足跡のように
構造は不確かなことが 確か
「宇宙船はもう 飛ばないんだってね」
シュレディンガーの猫が笑っている
そんな
気が した
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