しっぽについて/せんたく板
僕は失われたしっぽのことを考える
しっぽがどのように動きたがっているかを考える
もうそのしっぽは僕のものではないから
しっぽの本当の気持ちなんてわからない
僕はできるだけしっぽの動きをそのまま表現したくなる
たとえばそれは犬のような気持ちで
ときには、僕はなにも心を表現したいとは思わなくなる
猫のように
失われたしっぽのことを考える
あったはずの尻尾のことを考える
言葉を必要としていない心の領域で考える
ときどき僕はしっぽを持ちたいと思う
あればいいのにと思う
そうすると
もっとややこしい人間社会になるのかね
おしりのしっぽのあったあたりを手で触れてみる
何もとくに感じない
なんだか微妙な具合だ
てれるね
複雑だ
しっぽを触わられると嫌がるのはそのせい?
しっぽがない
どうしてしっぽがないんだ
しっぽがない
うしなわれてしまったのだ
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