スイレン/みもる
 
眠っていた水面に
君の目から月の雫が一滴

やさしく体中を駆け巡る波紋
その振動は血管を伝い

僕を熱くさせる

ただ上だけを見つめて
僕らはスイレンのベッドに浮いている

君はこっそり
か細いツルを夜空と僕に伸ばす

ねぇ
そんなに泣いてばかりじゃ
暗い水の中に沈んでしまうよ

あふれ出す涙は
僕がバケツですくいあげてあげる

だから君は
何も心配しなくていいんだよ

そのツルで何本何重と絡ませて
全部おおってしまえばいい

この夜は君だけのものだ

天まで伸びたツルから
地上に落ちてゆく
夜光に輝く君の雫

ほら
天の川の出来上がりだ

軽くなったスイレンの上で
鼻水をたらしながら

君はやっと笑顔になる

うまくバランスとりながら
一緒にのぼっていこう

ゆらゆら揺れる
この花に乗って
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