冷たい背理法/A道化
 



金魚鉢に
南は燃えうつるか
わたしは見ている


溶けない黒出目金の生体
燃えない色彩の存在を
本当は願っている


願いながら
燃える南に金魚鉢を晒す
晒しながら
水の静けさに失望し始めているヒンヤリとしたわたし
しんしん青ざめてゆくわたしの鼓動、を
それにふさわしい北側の壁にヒタリとはりつかせ
金魚鉢に南は燃えうつるか、金魚鉢に南は燃えうつるか
ただ、見ている


溶けない黒出目金の生体
燃えない色彩の存在を
それでも、本当は願っている



2005.8.4.
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