それから/こしごえ
亡霊にとりつかれている
幽霊がいるという話ではない
夏の最中(さなか)の冬といえばいいのか
忘れることができない過去
どこまでもついてくる
忘れたことまでも
ついてくる
遺伝子操作したところで
それは変わらない
宇宙の塵になればいいのか
それまで待てない
だから
亡霊と対話するのだ
モーニングコーヒーで
それと向かいあって
今について話しだす
今の今わたしは
煙草をすいながら
茶の間でコーヒーを飲んでいる
けれど過去は
今以外過去で
未来とも違う
いえ
そんなことは
哲学者か宇宙物理学者にでも
任せておけばいいことで
わたしは今
わたしの亡霊と
そう わたしの亡霊
きらめく喪失のどもり
ひそめく冬の羞恥心
はなやぐ夏の硬質
亡霊と融合する
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