いまでも地球は青いの/狸亭
漆のように黒い闇が無限にひろがる宇宙の
おぞましい永遠の闇また闇の中に白い服が
浮かび小さな一点の眼がみつめる青い星の
なんという美しさ神様あれが人類の隠れ家
それにしてもあれは何だろう 水道の蛇口
灼熱の太陽の兇暴な光を一杯にうけている
黒い顔はあんなに幼いのに必死に求める命
の水 十本の細い指がしっかと握り締める
錆びついた配管には一滴の水も出てこない
第三世界では一日五十リットルの水ですら
ままならぬというのに先進国には限りない
無駄がはびこる工業用水や水洗トイレすら
使い捨ての廃棄物の山を築くために流され
何でも商品化してしまう爛れた文明の世紀
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)