金色信奉/いわぼっけ
この払暁の紅は
「金色」という うたた心の信奉と錯誤
贋金という主に
デュロックやランドレース達の扈従
瓦礫の天地返しさながらに
血の眼して掻き分けて
渺茫とした廃墟の内の埋蔵プラチナか
糞便中の24金
己の掌より他 掴む甲斐なく
耀うシャンパングラスにいばりを酌んで
香しい真実の前に
髄のにがさも美味となる
この払暁の紅は
「金色」という無上正覚を
標榜する豊葦原の国が
さかんに 燃え尽きようとしているのか
否 生まれ出ずる生命の血流だ
監獄の崩壊したままの塀の内に
棲む者はなく
アノミィという混沌を飲みくだす
この払暁の紅は
「金色」という贋金の約束手形
持ちつ持たれつの愛想笑い
拝金主義の哀悼歌よ 哀しくもあれ
ああ産まれ出づる生命の血流よ
嬉しくもあれ
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