消失/岡部淳太郎
 
が、これは文字数の中にカウントしていません。前記のようなルールを決めてしまったため、多少堅苦しい表現や無理矢理な表現がありますが、そこは実験的な作品ということで御容赦ください。}

(消失 一)消えゆく者への祈り

愛を知れ。
消えゆく者こそ、
理路整然と愛を語れ。
百億の言葉が費やされても、
氷河の時が過ぎ去っても、
微熱にさえ惑う心あれば、
決して愛を知ることはないだろう。
はるかペルシャの砂漠で、
ポリネシアの島々で、
愛を語り歩く者があったという。
あるいは蒙古のパオの中で、
ピリレイスの地図の中で、
愛を語り明かす夜もあったという。
侮蔑的な、不眠の夜、
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