とろうる/みい
いちばん最初にその音を聞いたのは
体育の時間
運動場のまんなかで
野球をしてるみんなにまざって
ちっちゃい歌をうたった
こんな歌、誰にも聞こえないよーって
言うみたいに ほら
誰かがホームランを打った
とろうる。
耳の奥深くで聞いた
あたしだけのちっちゃい歌は
鼓膜に不透明のペンキを塗って
からだ全体に染みていった
カキン、というバットの金属音は
不透明の壁にはねかえる
ホームランは目に見えるだけで
すごいとは思わない
バットを握っていたきみが
放課後のチャイム の前に座っている
そうじしなきゃ、って
目を
そらす今日をわたしは投げ出し
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