有季自由律1/佐々宝砂
 
騙されたくて朧月夜を散歩する





踏まれて香る芽紫蘇の死
 
液体化するわたし 麗らかで

春眠の教室窓から光こぼれる

米が汗をかいている

汗のようにおちる言葉

何かと問えば遅夏の蝉
 
風にも空にも色がない君がいない

夜なべしながら猫抱けばあったかい

綿虫ちえの輪きみたち立つべき





憂き世の泳法は散るさくら


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