無季自由律1/佐々宝砂
 
言うまでもなく潰瘍





腕痛めた 腕があるから痛い

服を畳み自分を畳みお休みなさい
 
夜の中で記憶を石にする

ひつじをかぞえるゆめのよう、に。

太古のこのわた渡り足りない凪いでゆく

切り子陰気に青いフレアそうドワーフ

蟻走痒感を探しあてぬおまえは痒みの意味知らず

依代しろく録音されてゆく行方

楽の音を聴くように街の騒音を聴いている






ばらりばらりとほどけるわたしがうたっている


戻る   Point(2)