五十音頭韻ポエムな〜の/佐々宝砂
 
ならぬ
塗り隠された
濡れごとを

鵺よ
濡れ衣ではない

主のぬらつく抜け殻に
ぬれぬれとぬめるものは
拭いがたいのだ




[ね]


ねんねんねんねこ
ねずみはねむい

ねんねんねんねこ
ねこもねむたい

ねじれているのは
ねじりんぼ

ねどこでねだる
ねえさんの
ねものがたりに
ねいります

ねづかないのは
ねなしぐさ

ねんねんねんねこ
ねずみもねこも

ねんねんねんねこ
ねしずまる




[の]


のろのろと
登りゆく野道に
野いばら

野放しの罵りで
のぼせた脳髄に
野いばらの残り香は
のどかすぎて

のっぴきならない望みは
のどに糊付けされて
飲みこめなくて

のそのそと
登りつめた野原にも
野いばら

野火からのがれて
のびやかに伸びて
残る野花






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