五十音頭韻ポエムた〜と/佐々宝砂
 
天仁乎波(テニヲハ)の手まりなどいかがですか
てんてんてんまりてんてまり
てんてんてまりの手すさびですが
手練れの手管もございます

てんてんてんまりてんてまり
手負いの天よ
照ってもいいよ
照れてもいいよ




[と]


突進する都会に
とぼけた時計塔ひとつ

とつとつと止まりがち
とろとろと途切れがち
と思えば
とんとんとっとと飛ばしてる
とんちんかんな時計塔です

とまれ時は飛ぶ鳥で
時計塔がとぼけても
時計塔を咎めても
とまれ時は飛び去って

遠目にときめくときも
溶け合う吐息に戸惑うときも
とどめられずに遠ざかる

鳥でないなら時は投網で
とかげもトンボもときわ木も
とまれ投網の虜で

閉ざした扉の刺々しさも
常闇に点すともしびも
捕らえられて年老いる

とはいえ
とんちんかんな時計塔だけは
時ならぬ時を唱えてる
とつとつと
とろとろと
とんとんとっとと
とことんとぼけた時計塔です






[グループ]
戻る   Point(4)