オレオレ率と吟醸度/佐々宝砂
 
考えてみたら・・・オレオレ率と吟醸度は相反するものなのかもしれず、オレオレ率と吟醸度をともに低くするなんてすごく難しいんではないか。実作者はオレオレ率がひじょーに高くてもかまわないと思うし、逆に純読者は吟醸度がめちゃくちゃ高くてもいい。つーか、吟醸度が高い方が、読者としては幸福ですばらしいことなのではないか。私はかつて、幸福な詩の純読者だった。読む詩読む詩みんなすごいと思い、感心し、のたうちまわって喜んでいた。詩に関してはさておき、私は今も小説に関しては幸せな純読者である。あえて言うが、「単純に幸せな純読者に過ぎない」のではない、単純に幸せな純読者がたくさんいるからこそ、小説業界は成り立つのだ。
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