真夏の日々/チャオ
 
看板の狭間を。

この世にあるすべての落第したジュースを集めて、夏の祭りに売り出してみる。キンキンに冷えた氷水の中、無数のジュースを浮かべる。浴衣を着た老若男女が、こぞって集まり、財布の中に手を突っ込んでいる。
にぎやかに、まだ冷え切ってないビールを注文したお客さんは、足元に滴り落ちる冷たい水滴に驚いた。思わず子供の顔を見る。子供は興奮気味にジュースのタブと格闘している。
夕涼みにもならない、夏の夜の祭り。親子はそれぞれジュースとビールを握っている。大きな日陰が世界を覆うなか、親子はビールとジュースをカチンと鳴らす。

どんな寒い冬でさえ、光の差し込まない日はない。イカ釣り漁師がイカの群れを追わないことはない。あらゆるものが、あらゆる想像の範疇でその限界を超えない。必然的に、結果を選び取っていく。イメージは決して世界を逸脱できない。そして、世界はイメージを逸脱できない。
なぜなら、世界はイメージで作られているからだ。イカの群れと戦う闇夜のイメージは、薄明かりの冬の真昼に浮かび上がる。
夢見る世界は動き出し、真夏の核心へと迫る。
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