白濁の樹/
こしごえ
いつのことだったか
おーきな木に寄りそって
声もなく泣いたのは
知ることのできた空は
果てを知らずに膨らむ奥行
しっとり流し目をすると
逃げ迷う合せ鏡の黒髪
時が来れば尽きる
温もりは循環して
その影を発光させる
直感的な灰色の鏡を
みつめるのは
およしなさいな
日に透けた葉脈の
木洩れ日に打たれる
ひとふさの髪がそよぐ
いつかの泣き声が
知らぬまに
胸のうちに実っていた
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