冬の虫ケラたち/みもる
ぎゅっ、ぎゅっ、と
降り積もったあつい大気を踏み分け進む
照り返す光で白く輝くアスファルト
まるで銀の雲の上
天を仰げば
目が眩む迷いのない太陽のまなざし
僕はあわてて目を背ける
日が暮れ太陽が月とバトンタッチし
セミとスズムシもそれに続く
今日も虫ケラたちは
馬鹿の一つ覚えで花火に群がる
くだらない
花火キンチョールが落下して
みんな殺されればいい
そんな僕も
結局は虫ケラの一人
君に誘われるまま
無意識のうちにふらふらと
河川敷に迷い込んでしまった
七色の甘い花に
本能のまま見とれつつ
今なら花火キンチョールに
殺されてもいいと思う
君と一緒だから
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