一目惚れ。/大覚アキラ
絵画に詳しい知人には片っ端から訊いてみたし、ネットでの検索は考えられる限りやってみた。でも、いまだにわからない。ふと、あの絵のことを思い出すと、とても苦しく、切ない。ああ、もう一度会いたい。
そんな話を、この間知り合いにしたところ、彼にもそんな、一目惚れした名前もわからない恋の相手がいるという。相手は建築物だった。巨大な五円玉のような、非常に特徴的な建築物だという。10数年前に、以前の勤め先で見た建築雑誌に写真が掲載されていたらしいが、誰に訊いても何の手がかりも得られないまま、いまだに胸の支えが取れないのだという。
その苦しみが痛いほどわかるぼくは、ある休日を費やして徹底的にネット
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