原石/アンテ
上げてあって
蓋が四角くくり抜いてあった
けーたくんは恥ずかしそうに
まだひとつも見つかってないんだ
顔を赤らめた
わたしは言葉を呑み込んで
手を差し出した
好きよ
石を見るのって
男の子がキライじゃない理由
を考えながら
波打ち際を歩く
けーたくんはすこし遅れて
小石を物色している
きっとわたしは
硬すぎて欠けない石だ
どれだけ波に洗われても
尖った部分を隠し持っていて
拾っただれかを傷つける
男の子はキライじゃない
でも
好きにもなれない
今度こそ傷つけまいと心に誓うのに
気がつくと
いつも手遅れだ
箱のなかには
格子状の仕切りがあっ
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