終焉の祝砲/紫音
るように
それは黒死病のように厄災を拡散する
個は無意味だ
数多の英雄がそうであったように
自らの意思で世界を終わらせろ
神が降誕する前に
時の流れを止めてみせろ
脳裏に潜む真理を呼び覚ませ
セピアからモノトーンに変わる前に
モノトーンが全てを染め上げる前に
清浄なるものを示せ
混沌は祝福だ
この世界を朱に染めて
意味と価値を与えて見せろ
神は求めている
人は求めている
それは狂気ではない
仕組まれた狂喜だ
血塗られた手で
見えざる階段を
昇って見せろ
やがて訪れる静穏なる日は
世界に孔を穿つ審判の時
総てを無に返す
終わらない苦痛の始まり
砲口が交わす
終焉の祝砲が鳴り響く
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