偏食 三/落合朱美
 
それをたぐりよせ
今度は上目づかいでこちらを見上げ 
恥ずかしそうに食べる食べる

小さな獏の出現は救いだった
日中集めてきた秘密と嘘を
夜な夜な2匹の獏に向かって吐き出して
すっからかんになった後のため息は
小さな獏が食べてくれるから
精神のバランスがほどよくとれているみたいで
この頃の私はちょっと充実してる

すくすくと育ち
すやすやと眠る獏たちを見て
私はすっかり母性のかたまりとなって
イイヒトでウソツキだけど
私はシアワセモノなんだわと思う

それにしても
どうしてこの頃こんなにも
捨て獏や野良獏が多いんだろう
眠らない街が増えて
みんな夢を見なくなってしまったのかしら
獏が偏食する世の中なんて
もう世も末だわ

あ、またため息が・・・



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