見ることと知ることと/クリ
星空が大好きだった子供はいくつもいくつも
星座の名前を言うことができるのが自慢だった
13歳の夏の夜何気なく夜空を見ている途中
それは突然にやってきた
「無限」
彼はその高さ、深さ広さをそのとき初めて理解した
あまりの恐ろしさに手足が冷たくなった
夜空に落ちるのではないかという不安
計り知れない虚無にぽつんといる孤独
見ていると思っていたものを
本当は見ていなかったということも…
恐くて寂しくて小さくて子供は
家の中に駆け込んだ
そして明るい部屋でみんなとテレビを観た
キノコ雲がどんどん大きくなっていく映像
今まで何度か見たことのある似たような光景
けれど初めて
子供は震えた
Kuri, Kipple : 2005.07.13
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