肉体/狸亭
 
太陽に 染まる ぼくの 肉体
川面を 流れる あおい 餓鬼
都市に 浮かぶ ぬれた 眼帯
山河を 巡って 届いた 葉書

混沌の くらい 大地を 覆い
溢れる 人々は 互いを 叩き
異邦の 時間に きみは 老い
隔たる 虚空に ぼくは 乾き

本屋の 平棚に 少女の 裸体
眺める 詩人は 老眼を 瞬き
菊花の 壁際に 宰相の 倦怠
甘える みんな 繰り言 呟き

多重の 叫びに 人類の 忍耐
吼える 火山の 噴煙に 泣き
荒れ野 点々と 飢餓の 地帯
居座る 雲間に 神々の 吐息

傷付く 帝国の 兵器は 渋滞
埋まる 死母は 麦飯を 炊き
空高く 駆ける 平和を 期待
捨てる 思想は 肉体の 輝き

(押韻定型詩の試み 5)




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