夕涼み/
マッドビースト
私も今に留まりたいと思っている
触れた地面はまだ昼間の熱で暖かい
さよならという言葉は陽炎のようだ
揺らめいていて近づくと遠く
その向こうがあることなどどうでもいい
生まれる春や
染まりいく秋
身を抱きしめる冬ではなくて
そう構えずに
呟くのだと思う
この言葉は
悲壮な決意など欲しくない
何気なく空を見上げる余裕のある夏の夕べだからこそ
さよなら
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