フリースタイル4(たとえばカフェの一席で、もしくは私鉄の一席で)/チャオ
 
外出したくない気分で外出をする。街には騒音がこだましている。耳に入る沈黙は皆無で、屋内へ足を踏み入れたとしてもBGMが鳴らされている。僕はあくびをする。それから後頭部を偏執的に掻き毟り、すれ違っていく車を眺めた。

ある日の休日、いつの間にか山手線で六周していた。眠ること以外の快楽を見つけることが出来なかった。充実していたのか、老化を早めたのか今じゃ僕には分からない。流れていく時間に僕は必死にしがみついていた。それから、答えは出るのだと。

すれ違う風の物音が聞きたい。だるく、むくんだ足で前へ。歩道の自転車。歩道の子供。歩道に歩く犬や猫。歩道の男は太陽の光をさえぎる高架橋の下、排気ガスに溺
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