ふわり、風/千波 一也
 

ふわり、風

ふわり、髪

いつかの夏の真昼の丘で
風にそよいでいたきみのこと


ふわり、風

ふわり、髪

いつかの夏の真昼の丘で
きみの光が思い出に捕らわれそうで

哀しかったのを覚えてる


穏やかな日だまりのなかで
哀しかったのを覚えてる



ふわり、風

ふわり、

きみの髪のかたちが
心に蘇る



参ったなぁ

いつかの少年にはもう戻れない



ふわり、風

ひとりきりでは乗り切れず


ふわり、風

くすぐったいような
きみが好き




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