siranai/tonpekep
あなたはわたしの何もかもを知らないし
わたしはあなたの何もかもを知らない
それでいいと思う
それでいいと思ったら
夏の柔らかい部分では
雨の方で都合をつけて
わたしとあなたを
水たまりにする
そこに集まってくる花たちは
わたしとあなたを
これから語ろうとするために
根を潤したりするけれど
上手に語ることが出来ずにいる
けれどもわたしの約束は
あなたの全てを知っている
あなたは
わたしの約束を覚えている
水面を削ぐように
夏の風が
わたしとあなたの
思い出を飛ばし続けている
あなたはわたしの何もかもを知らないし
わたしはあなたの何もかもを知らない
それでいいと思う
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