水辺の生活/かのこ
 
静寂に耳を塞いで
朝も晩もない空の色が
溶ける頃

揺らぐことに絶望した舟の上
その死んだ櫂を捨てるのよ
そうして呪いの手で
紡ぎ続ける水辺の生活

もう
進むことはおろか
水辺のにおいにも疲れ切って

波も風も、要らぬ
月も太陽も
何も
欲することはない

果てることのない手がため
ただ沈むときを待つ
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