一つの距離/プテラノドン
 
樫の木の下で眺める
フェンスの向こう 霞ヶ浦で
クルーザーが揺れている

その遠く 建物の明かりが
夜の中に沈殿する様
ぼんやりと灯っている

広い駐車場には 数台の車
一台のセダンの走行距離は
十万kmをゆうに超えていた

十万行の詩を書くためには
どれだけのガソリンと
行くあてが必要となるのか

一mの 距離は短く
一行の 距離は長い
深さに―

雨が上がる 水たまりに
風が雫を落とす
明日ともなれば乾いてしまう

でもそれは十万行の詩の中で
絶えず溢れる泉であって
無くなる気配など、ないのだ
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