よる の あめ/玉兎
 

迷子のように
くもの雨だれから
ぬれる ぬれてゆくね

僕からも君からも
何もつないでいけるものが
ないような気がして
みしり、ぱちり、と
ただ おちているだけに
かぜに吹かれたりして
ほんとは
どこにおちているのかさえ
しらない
でも そこへ
おちてみて
はじめて僕は
いたさを知り
あいを知り
かなしみを知る

ほんのささやかな ひかりは
ほんのまたたきの あいだだけ
スポットライトは
めまぐるしく
つぎの世代をうつす
その瞬間でさえ
むしばまれては
うたをつむぎ
あいされては
また うたをつむぐ

そうして
ふりそそいでは
君を
ぬらしている
よるのあめ


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