掌/蝶番 灯
 



あたしが成長するのに比例して

お金は消費された

現在になってその費用は 

とうにうまれた頃と変わらない

費用と同じだけ懸けられた期待も

崩れ出す






お水は生傷に冷たく沁みた

美しくも 無駄な潤い






脳も大人程に成長したあたしは

逆らえない運命に野次を飛ばす様になった

幾つもの期待を裏切っては

遂にあたしがうまれた事にさえ

懺悔を覚えた






ぽたぽた零れるきれいなお水

もう 半分しかない






あたしが生存しているという事だけで

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