卒業によせて/春日野佐秀
くすのきは今も変わらない
木にとって この時間は
とても短いから
でも人は変わる
変わらない思いを胸に
巣立ってゆく
小さかった背中も
いつのまにか大きくなって
すりきれた制服が
くんしょうのように光っている
変わらないようでいて
変わってしまった私たち
けれど思い出はたくさん
ケンカした日も
支えあった日も
今ではひとつひとつがなつかしい
ふりかえれば
足跡が道となり
私のうしろへ続いてく
ひとつひとつの思い出から
やがて芽が出て木となって
私は変わっていくのだろう
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