カレー/大覚アキラ
どれだけ美味しいカレーが作れるか
それは
抱えている苦しみの重さで決まる
インドのある村では
古くからそう信じられているそうだ
その村では
美味しいカレーを作るために
大切に育てた家畜を飢え死にさせたり
自分の足を切り落としたり
命を落とすような危険な遊びを
子供たちにさせたりする
生まれつき重い病や障害を持つ者は
神に祝福されたカレーの作り手として
皆から尊敬され崇められる
彼らにとっては
美味しいカレーを作ることこそが全てであり
それ以外のことには
何の価値も意味もないのだ
そして
この上なく美味しいカレーができたときは
村中の人間が泣きながらそれを食べるという
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