遠、/ピッピ
影は何回も東の方向へ、ぼくとさよならをしたかったはずなんだ。
地面に転がったいくつものものたち、ごみばこ、人間、薄紅色の携帯電話、
全てが…なんか、倒錯している世界、素晴らしい世界。は、
フラジャイル、ということを、すっかり忘れていて、
お互いを壊し始める五秒前の静寂を、
いつも愛している。
伝えたいことのボルテージはいつもからっぽ。
レベル0のままの、それとも言葉なんかが何かを伝達してくれるのだろうか?
そこかしこのものがしゃべり出す。そうして、口の憂鬱。
「生まれ変わったら…」その後に続く言葉がない。
言葉を伝えきった口はいつか死ぬ。突拍子もない言葉、
突拍子もない物
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