偏食 二/落合朱美
 
や涙を誘ってみる

夜になると私は
2匹の獏と向き合って
集めてきた秘密と
吐いた嘘をぶちまける
2匹の獏はそれはもう嬉しそうに
つぶらな瞳をキラキラさせて
はふはふ言いながら食べる食べる

秘密も嘘もすっからかんになってしまうと
私は自分がわからなくなる
私はイイヒトでウソツキなのかしら
イイヒトだけどウソツキなのかしら
ウソツキだけどイイヒトなのかしら

このところ私はすこし危ういのじゃないかしら

だけど足元で2匹の獏が満足げに
寄り添って眠っている姿を見て
獏も夢を見るものかしら なんて思いながら
私もひどく満たされていることに気付いて
これでいいのよ と言い聞かせ
これでいいのよ とほんとに思い

そうして私は幸せな眠りへと堕ちてゆく


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